先生の事務所のホームページを開いたとき、ブラウザのアドレスバー(URLの横)を見てみてください。 もし、「保護されていない通信」や「安全ではありません」という警告が表示されていたら、それは非常に危険な状態です。
2017年頃までは「導入すればメリットがある」と言われていたSSL(暗号化通信)ですが、2025年現在においては「導入していないことが致命的なデメリット」となる時代になりました。
今回は、まだ「http」のままのホームページをお持ちの弁護士・司法書士・税理士等の士業の先生に向けて、なぜ今すぐ「https(常時SSL化)」に切り替えるべきなのか、その理由を解説します。
このページの目次
理由1:相談者が「怖くて」問い合わせできない(ブラウザの警告)
かつては、SSLが入っていないサイトでも普通に表示されていました。しかし現在は、Google Chromeなどの主要ブラウザがセキュリティを強化し、SSL未対応のサイトに対して警告文を出すようになっています。
- SSL対応サイト(https): 鍵マーク🔒が表示され、「安全」と認識される。
- 未対応サイト(http): アドレスバーに「保護されていない通信」「安全ではありません」と赤字や警告マークで表示される。
相談者は、人生を左右する深刻な悩みを抱えて事務所を探しています。 その事務所のサイトを開いた瞬間に「安全ではありません」と表示されたら、どう思うでしょうか?
「この事務所に相談内容を送っても大丈夫かな?」 「セキュリティ意識が低い事務所なのかな?」
こう不安にさせてしまい、問い合わせる前にページを閉じられてしまう(離脱)可能性が極めて高くなります。
理由2:情報漏洩のリスク(弁護士・司法書士/士業としての責務)
技術的な話を簡単にすると、SSL(https)とは、通信データを「暗号化」して送受信する仕組みのことです。
- SSLなし(http): 官製はがき。郵便配達員など、途中経路の誰でも中身が読める。
- SSLあり(https): 封筒に入った手紙。中身は当事者しか読めない。
法律事務所の問い合わせフォームには、「不倫」「相続」「借金」「刑事事件」など、極めてセンシティブな個人情報が書き込まれます。 もしSSL化していない場合、これらの情報がインターネット上の通信経路で第三者に盗み見(盗聴)されるリスクがあります。
守秘義務を負う法律家として、相談者の通信経路を守ることは、もはや最低限のマナーであり義務と言えます。
理由3:Google検索順位への悪影響(SEO)
Googleは数年前から「HTTPSをランキングシグナルに使用する(順位決定の要素にする)」と明言しています。 つまり、「SSL化していないサイトは評価を下げる」ということです。
どれだけ有益な法律コラムを書いても、どれだけ被リンクを集めても、土台となるセキュリティが古いままでは、検索順位で競合他社に勝つことは難しくなっています。
「コストがかかる」「順位が下がる」は過去の誤解
昔(2010年代)の知識をお持ちの先生の中には、SSL化に対して以下のような懸念をお持ちの方がいらっしゃいますが、現在は状況が変わっています。
誤解1:「SSL化すると一時的に検索順位が下がるのでは?」
【現在の事実】 確かにURLが「http」から「https」に変わるため、Googleの認識が切り替わる数日間は変動することがあります。しかし、現在は「SSL化していないことによるマイナス評価」の方が遥かに大きい状態です。 一時的な変動を恐れて非対応のまま放置する方が、長期的には検索順位を大きく落とす原因になります。適切なリダイレクト処理(301転送)を行えば、評価はスムーズに引き継がれます。
誤解2:「費用が高いのでは?」
【現在の事実】 以前は年間数万円のコストがかかることもありましたが、現在は「Let’s Encrypt」などの普及により、無料〜低価格で導入できるSSL証明書が一般的になっています。維持費の負担は以前より大幅に下がっています。
まとめ:今すぐ「https」へ切り替えを
まだホームページが「http://〜」から始まっている先生は、機会損失を生んでいるだけでなく、事務所の信頼性そのものを損なっている可能性があります。
- 「保護されていない通信」という警告を消す
- 相談者の個人情報を守る
- Googleからの評価を正常に戻す
これらは、Web集客以前の「身だしなみ」です。 「うちはどうだったかな?」と思われた先生は、今すぐご自身のサイトを確認してみてください。もし鍵マーク🔒がついていなければ、早急に制作会社へ相談されることを強くお勧めします。











