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前回はハードウェア(パソコン・ストレージ)について触れましたが、今回は「ソフトウェア」について解説します。
法律事務所、弁護士、司法書士、税理士等の士業のホームページに限らず、Webサイトはいくつかの「パーツ」が組み合わさってできています。
弁護士の先生が日常的に作成される「訴状」に例えてみましょう。 訴状が「当事者」「請求の趣旨」「請求の原因」といった必要的記載事項で構成されているように、ホームページも「原稿」「画像」「HTML/CSS(骨組みと装飾)」「プログラム」というパーツで構成されています。
今回は、これらのパーツを作成するために、プロの現場でも使われている定番ソフトや、先生方が自作や監修をする際に便利な最新ツールをご紹介します。
このページの目次
原稿作成・構成案作り
ホームページの命とも言える「原稿」。何を使って書くかで効率が大きく変わります。
■ Microsoft Word(定番)
士業の皆様にとって最も馴染み深いツールでしょう。制作会社へ原稿を送る際も、Word形式であればスムーズです。
メリット: 使い慣れている、文字数カウントが容易、校閲機能が優秀。
注意点: Word上の装飾(文字色や配置)は、Web上ではそのまま再現できない場合があります。「テキストデータ」として割り切って使うのがコツです。
■ Notion / Evernote(情報整理)
かつてはEvernoteが定番でしたが、現在はNotion(ノーション)も非常に人気です。 これらは単なるメモ帳ではなく、情報を「ツリー状」や「データベース」として管理できます。
メリット: 「トップページ」「業務案内」「弁護士紹介」など、ページごとに情報を整理しやすく、スマホとPCで同期も一瞬です。ブログのネタ帳としても最適です。
■ テキストエディタ(プロ向け)
余計な装飾を排して、純粋に文字情報だけを扱いたい場合はテキストエディタが最強です。動作が軽く、執筆に集中できます。(おすすめソフトは後述します)
画像作成・加工・管理
「人物写真」「事務所ロゴ」「バナー」など、視覚情報は信頼性に直結します。
■ Adobe Photoshop(プロの標準・有料)
写真加工の業界標準ソフトです。人物写真の明るさ調整や、高度な合成など「画像に関すること」なら何でもできます。高機能すぎるため、学習コストは高めです。
■ Adobe Illustrator(ロゴ・印刷物・有料)
ロゴマークやアイコン、地図などを作成するソフトです。拡大しても画質が荒れない「ベクターデータ」を扱えます。看板や名刺のデータをお持ちの場合、多くの制作会社はこのIllustrator形式(.ai)での支給を依頼します。
■ Canva(ノンデザイナーの救世主・無料/有料)
【2025年の新常識】 これからご自身でバナーやアイキャッチ画像を作りたい先生には、PhotoshopよりもCanva(キャンバ)をおすすめします。 ブラウザ上で動作し、プロ並みのテンプレートを使って直感的にデザインが可能です。操作が簡単で、今や多くの企業が広報活動に利用しています。
コーディング(HTML/CSS編集)
Webサイトの裏側(ソースコード)を書くための「テキストエディタ」です。
■ Visual Studio Code(現在の世界標準・無料)
かつては「Atom」や「Sublime Text」が人気でしたが、現在はMicrosoft製のVisual Studio Code (VS Code) が圧倒的なシェアを誇ります。
特徴: 無料かつ超高機能。入力補完機能が優秀で、HTMLやCSSのミスを即座に教えてくれます。Windows/Mac問わず使えます。
■ 秀丸エディタ(Windowsの古豪・有料)
Windowsユーザーには根強い人気を誇る国産エディタ。動作が爆速で、大量のデータ置換(例:サイト内の「事務所名」を一括変更するなど)に威力を発揮します。
ホームページ作成・構築ソフト
■ WordPress(現在の主流)
現在、世界中のWebサイトの40%以上がWordPressで作られています。 「ソフト」というよりはWeb上のシステムですが、最近は「Local」というツールを使って、自分のパソコン内でWordPressを動かしながら制作する方法が一般的です。 「ホームページビルダー」や「Dreamweaver」といった買い切りソフトでの制作は減少傾向にあり、現在はWordPressのようなCMS(コンテンツ管理システム)での構築がスタンダードです。
FTPソフト(サーバーへの転送)
作成したデータをサーバーへアップロードするためのソフトです。
■ FileZilla(Windows/Mac・無料)
現在、最も広く使われているFTPソフトの一つです。「FFFTP」は開発の歴史が長くファンも多いですが、セキュリティや更新頻度の観点から、現在はFileZillaやWinSCPなどが推奨されるケースが増えています。
■ Transmit(Mac・有料)
Macユーザーには圧倒的に使いやすいソフトです。デザインが美しく、ドラッグ&ドロップで直感的に操作できます。見えない設定ファイル(.htaccessなど)の扱いも容易です。
ブラウザ(表示確認)
制作したサイトがどう見えるかを確認するソフトです。2025年現在、Internet Explorer(IE)は廃止されています。
■ Google Chrome(必須)
現在のシェアNo.1ブラウザ。拡張機能が豊富で、制作・SEO・マーケティングに役立つツールが無数にあります。 開発者ツール(F12キー)を使えば、スマホでの表示確認も擬似的に行えるため、制作現場では必須です。
■ Microsoft Edge
Windowsの標準ブラウザ。中身はChromeと同じ仕組み(Chromium)ベースになりましたが、Windowsユーザーの利用率は高いため、表示確認は必須です。
■ Blisk(制作用ブラウザ・有料)
PC画面とスマホ画面を同時に並べて表示・スクロールできる、開発者特化型ブラウザです。レスポンシブデザイン(スマホ対応)の確認効率が劇的に上がります。
まとめ
専門的なソフトも多いですが、ご自身で記事を書くなら「WordかNotion」、簡単な画像をいじるなら「Canva」、コードを少し触るなら「Visual Studio Code」。 まずはこのあたりから触ってみると、ホームページの仕組みがより深く理解できるはずです。

