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弁護士、司法書士、税理士などの士業ホームページにおいて、「離婚相談専門」「交通事故専門」といった「分野特化型ホームページ」を持つことは、もはやブームではなく「集客のスタンダード」となりました。
これからホームページを作る、あるいはリニューアルを検討されている先生から、今でもよくいただく質問があります。
「いろいろな案件を取りたいのですが、それでも『特化型』にした方がいいですか?」 「総合型サイトと特化型サイト、どちらが有利ですか?」
今回は、ユーザー心理と最新のSEO(検索エンジン対策)の両面から、特化型サイトの役割と戦略的な使い分けについて解説します。
- ユーザー心理:「何でも屋」より「専門医」に頼みたい
なぜ、特化型サイトの方が成約率(受任率)が高いのでしょうか。 それは、ユーザーが「安心感」を求めているからです。
例えば、交通事故で重い後遺障害に苦しんでいる被害者Aさんがいるとします。 Aさんがスマホで弁護士を探したとき、以下の2つのサイトが出てきました。
【総合型】〇〇法律事務所
取扱業務:離婚、相続、企業法務、交通事故、刑事事件…(交通事故はその中の一つ)
【特化型】交通事故・後遺障害専門 〇〇法律事務所
トップページから解決事例や慰謝料の増額実績がずらりと並んでいる
Aさんはどちらに「自分の人生」を預けたいと思うでしょうか? 間違いなく後者の「専門サイト」です。
医療で例えるなら、「お腹が痛い時に、眼科も皮膚科もやっている総合診療所に行くか、消化器内科の専門医に行くか」という話と同じです。深刻な悩みであればあるほど、人は「その道のプロ(専門家)」を探します。
- 紹介の連鎖:「あの先生は〇〇に強い」というタグ付け
特化型サイトを持つことは、Web集客だけでなく、リアルな「紹介」にも効果を発揮します。
知人Bさんが、事故に遭ったAさんに弁護士を紹介する場合を想像してください。 「いい弁護士がいるよ」と言うよりも、 「交通事故にめっちゃ詳しい、専門の弁護士がいるよ」 と言う方が、紹介する側も自信を持って言えますし、紹介されたAさんの安心感も段違いです。
「〇〇先生=交通事故に強い」という明確なタグ付け(認知)を行うために、特化型サイトは非常に有効なブランディングツールになります。
- SEOの視点:「E-E-A-T」と「商圏の拡大」
現在のGoogle検索(SEO)においても、特化型は非常に有利です。
Googleは現在、「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」を最重要視しています。 サイト全体がそのテーマ(例:相続)だけで構成されている特化型サイトは、Googleから「このサイトは相続に関する専門性が高い(トピックオーソリティがある)」と認識されやすく、結果として検索順位が上がりやすくなります。
また、専門性が高ければ高いほど、「商圏」が広がります。 「近所の何でもやっている先生」よりも「電車で1時間かかっても、解決実績が豊富な専門の先生」に頼みたいのがユーザー心理です。さらに現在はZoom等のオンライン相談も普及したため、特化型サイトを持つことで全国、あるいは広域からの集客が可能になります。
結論:予算とフェーズに合わせた「作り分け」戦略
では、どういう戦略でホームページを作るべきか。 現在の業界動向と予算感を踏まえると、以下の方向性をおすすめします。
■ 開業初期・予算を集中させたい場合
おすすめ:「一点突破の特化型サイト」 あれもこれもと欲張らず、「まずは離婚」「まずは相続」と、最も注力したい分野に絞って特化型サイトを1つ作ります。 リソースを分散させないことで、少ないページ数でも専門性を高めやすく、早期にSEO評価を得て収益化を目指せます。
■ 予算がある・事務所を拡大したい場合
おすすめ:「総合サイト(母艦)+ 複数の特化型サイト(別館)」 事務所としての信頼感を担保する「総合サイト(コーポレートサイト)」を持ちつつ、集客の柱となる業務ごとに「特化型サイト」を複数展開します。 (例:『〇〇法律事務所(本体)』+『〇〇法律事務所の交通事故相談』+『〇〇法律事務所の相続相談』)
これにより、各分野で専門性をアピールでき、かつリスク分散(どれかの順位が落ちても他でカバーできる)にもつながります。
まとめ
「ページ数が多いから総合型でも勝てる」という時代は終わりつつあります。 ユーザーもGoogleも、求めているのは「深い専門知識」です。
「自分の地域、自分の得意分野なら、どう攻めるのが正解か?」 迷われた際は、ぜひご相談ください。競合調査を行った上で、最適なサイト構成をご提案させていただきます。

