士業の先生方から、ホームページ集客に関するご相談の中で最も多くいただく質問の一つが、「インターネット広告費は、一体いくらかけるのが妥当なのか?」というものです。
扱う業務分野や事務所の所在地、目標とする受任件数によって大きく異なるため、一律に「平均〇〇円です」と断言することはできません。しかし、それでは予算計画が立てられません。
そこで今回は、2025年現在の士業向けネット広告の具体的な費用相場と、広告費を無駄にしないための費用対効果の考え方について解説します。
このページの目次
主力となる「リスティング広告」の費用感と目安
今すぐ客にアプローチできるリスティング広告(検索連動型広告)は、士業のウェブ集客において最も中心的な手法です。
2025年現在の費用相場
競争の激化に伴い、広告費は年々上昇傾向にあります。2025年現在の一般的な目安は以下の通りです。
- 月額広告費の目安:20万円~80万円
- 多くの事務所がこの範囲で運用していますが、競争の激しい都市部や分野では月額100万円を超えるケースも珍しくありません。
- クリック単価 (CPC) の目安:500円~3,000円
- 「相続放棄」「債務整理」などのキーワードは競争が激しく、1クリック数千円になることもあります。
- 問い合わせ1件あたりの獲得単価 (CPA) の目安:10,000円~50,000円
- 最終的に、このCPAをいかに抑えられるかが運用の鍵となります。
費用対効果の考え方:「目標CPA」を設定する
広告費を投下する上で最も重要なのが、「問い合わせ1件に対して、いくらまでなら広告費をかけられるか」という基準(目標CPA)を明確にすることです。
伝統的に、顧客獲得コストは「受任単価(報酬)の5%~15%」が適切と言われており、これは今でも有効な考え方の一つです。
例えば、平均受任単価が50万円の業務であれば、その10%である5万円を目標CPAに設定します。実際のCPAがこれを下回っていれば広告は成功、上回っていれば改善が必要、という明確な判断基準ができます。
受任単価が高い業務でも、キーワード選定を工夫すればCPAを抑えることは可能です。自事務所の収益構造から逆算して、無理のない広告戦略を立てることが重要です。
認知拡大を狙う「ディスプレイ広告・SNS広告」の費用感
リスティング広告が「今すぐ客」を狙うのに対し、画像や動画でアプローチするこれらの広告は、まだ悩みが顕在化していない「潜在層」への認知拡大に適しています。
ディスプレイ広告(旧:バナー広告)
Yahoo!ニュースのサイトや様々なブログなどで見かける画像広告です。かつては自治体サイトなどへの出稿もありましたが、現在はGoogleやYahoo!の広告ネットワークを通じて、ターゲット層が見ていそうなサイトへ効率的に配信するのが主流です。
- 費用の目安:月額5万円~
- リスティング広告よりクリック単価は安い傾向にありますが、認知拡大が目的なので、ある程度の表示回数が必要になります。まずは少額からテスト的に開始できます。
SNS広告(Facebook, X, Instagramなど)
SNS広告の強みは、年齢・地域・興味関心などで非常に細かくターゲットを絞り込める点です。 例えば、「〇〇市在住で、中小企業の経営者」といった層に、企業法務に関する広告を直接届けることができます。
- 費用の目安:月額3万円~
- こちらも少額から始められ、特定のニッチな分野で潜在顧客を探す際に非常に有効です。
なお、これらの広告ではバナーや動画の「クリエイティブ制作費」が別途必要になる点も忘れないようにしましょう。
広告費を無駄にしないための重要な視点
最後に、最も重要なことをお伝えします。それは、広告とホームページは一心同体であるということです。
どれだけ優れた広告で多くのアクセスを集めても、その受け皿であるホームページに魅力がなければ、誰一人として問い合わせをしてくれません。デザインが古かったり、費用が不明確だったり、スマートフォンで見づらかったりすれば、広告費はただ無駄に消えていくだけです。
インターネット広告を検討する際は、まず自社のホームページが相談者を迎え入れる準備ができているかを必ず確認してください。そして、広告だけに依存するのではなく、SEO(検索エンジン対策)やMEO(Googleビジネスプロフィール)といった他の施策と組み合わせることで、中長期的に安定した集客基盤を築いていくことが、賢明な投資と言えるでしょう。









