
弁護士、法律事務所、司法書士事務所の先生方がホームページを制作・運用する上で、非常に重要な視点があります。それが、サイト全体の「コンテンツ量(ページボリューム)」です。
以前の記事で、多くのキーワードを網羅することがアクセスアップに繋がる、というSEOの基本的な考え方をご説明しました。しかし、なぜ単純なキーワードの網羅だけでなく、「ページ数」そのものが重要なのでしょうか。
今回は、2025年の最新の検索エンジンの評価基準を踏まえ、なぜ質の高いコンテンツを積み重ねてページボリュームを増やすことが、集客成功に不可欠なのかを解説します。
なぜ「ページボリューム」がSEOに不可欠なのか
ホームページに様々なテーマのページを追加することで、多様な検索キーワードからのアクセス経路を確保できるのは基本です。しかし、ページボリュームを増やすことのメリットはそれだけではありません。特に重要なのが、「検索エンジンからの評価向上」と「専門性の証明」という2つの側面です。
メリット1:専門性の証明と「トピックオーソリティ」の構築
2025年現在、Googleは特に法律や金融といった人々の人生に大きな影響を与える分野(YMYL)において、サイトの専門性・権威性・信頼性(E-E-A-T)を極めて厳しく評価します。
例えば、「相続」に関する情報発信を行うとします。
- サイトA: 相続に関する基本ページが5ページのみ。
- サイトB: 相続の基本に加え、「相続放棄」「遺産分割協議」「遺留分」「事業承継」など、関連するあらゆるテーマを深掘りした記事が合計100ページある。
この場合、Googleが「相続分野の専門家」として高く評価するのは、間違いなくサイトBです。
豊富なページ数で特定の分野を網羅的に解説することは、その分野における「トピックオーソリティ(主題の権威性)」が高いとGoogleに認識させるための最も有効な手段です。単にページが多いだけでなく、一つひとつのコンテンツがユーザーの疑問に深く答える質の高いものであれば、その評価は絶大なものになります。
メリット2:Googleからの評価を高め、インデックスを促進する
Googleのクローラー(情報を収集するロボット)がサイトを訪れ、その内容をデータベースに登録することを「インデックス」と呼びます。インデックスされて初めて、サイトは検索結果に表示されるようになります。
このクローラーの巡回頻度は、サイトの評価と密接に関係しています。
私たちの過去のデータ分析でも、「サイト全体のページボリュームが多いサイトほど、クローラーの巡回頻度が高まる」という明確な傾向が確認されています。
これは、「このサイトは情報が豊富で、頻繁に価値ある情報が追加される重要なサイトだ」とGoogleが認識し、新しい情報を見逃さないように頻繁に確認しに来るためです。巡回頻度が高ければ、新しく追加したページや更新した情報がより迅速にインデックスされ、スピーディーに検索結果へ反映されるという大きなメリットがあります。
【検索結果の現実】上位表示サイトの共通点
この事実は、実際の検索結果を見れば一目瞭然です。 今、ご自身の専門分野に関するキーワード(例:「離婚 弁護士」「会社設立 司法書士」など固有名詞以外)で検索してみてください。
検索結果の1ページ目に表示されるサイトの多くは、数ページしかない簡素なホームページではなく、コラムや解決事例、Q&Aなどで構成された、コンテンツ量が豊富なサイトばかりであることにお気づきになるはずです。
稀に、公開直後のサイトが一時的に上位表示されること(通称:Googleハネムーン)もありますが、継続的に上位を維持するためには、良質なコンテンツを積み重ねてサイト全体の価値を高めていくことが絶対に不可欠です。
ページ数が少ないサイトは、たとえインデックスされたとしても、競合がひしめく分野で上位に食い込むことは極めて困難なのです。
集客を成功させるためには、小手先のテクニックではなく、相談者の役に立つ質の高いコンテンツを継続的に発信し、事務所の専門知識の「デジタルな資産」として積み上げていく。この地道な努力こそが、SEOにおける最も確実な王道と言えるでしょう。